外国人が日本で働く際の最もポピュラーな就労ビザ(在留資格)は「技術・人文知識・国際業務」です。通称「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれています。このページでは「技術・人文知識・国際業務」の取得の条件や該当する例・しない例などをご説明いたします。
就労ビザとは
就労ビザとは外国人が日本で働くための在留資格の通称です。正確には「就労ビザ」というビザはなく、就労できる在留資格が一般的にはこのように呼ばれています。詳しくは次のリンク先のページをご参照ください。
「技術・人文知識・国際業務」とは
在留資格「技術・人文知識・国際業務」は次のように規定されています。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項,芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで、企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令
「技術・人文知識・国際業務」は3つの分野が合体した名前です。それぞれの分野を見ていきましょう。
1. 技術
技術に該当するのは、「理学,工学その他の自然科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」です。「その他」には農学や薬学などがあります。
<職種例>
・システムエンジニア
・プログラマー
・機械工学技術者
・農林水産の技術者
・ゲーム開発者
・建築設計者
2. 人文知識
人文知識に該当するのは、「法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」です。基本的には専門または履修した文系科目に関わりのある職種に就くことができます。
<職種例>
・営業(販売、マーケティング、企画など)
・広報
・商品開発
・経理
・人事
・総務
・コンサルティング
・弁護士補助
・設計業務の補助
3. 国際業務
国際業務に該当するのは、「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」です。
<職種例>
・翻訳、通訳
・貿易
・語学学校の講師(学校法人ではなく民間の英会話学校など)
・デザイナー
取得要件
1.技術と 2.人文知識の要件
次の(1)または(2)のいずれかと、(3)が必要です。ただし、所定のIT資格を保有している場合でその資格に関連する業務を行う場合には(1)または(2)は不要です。
(1) 学歴
予定業務に関連する科目を専攻して大学、または、日本の専門学校を卒業していること。
(2) 業務経験
予定業務についての実務経験が10年以上あること。この実務経験期間には、大学や専門学校などでその業務に関連した科目を専攻した期間を含んでいいことになっています。
(3) 日本人と同等の報酬
外国人の報酬(給与)は同様の条件の日本人以上でなくてはなりません。同様の条件とは、業務内容・能力・経験などのことを言います。
3. 国際業務
次の(1)~(3)のすべてが必要です。
(1) 業務内容
翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
(2) 業務経験
予定業務に関連する業務について3年以上の実務経験があること、ただし、翻訳、通訳または語学の指導の業務の場合は、大学を卒業していることでも可。
(3) 日本人と同等の報酬
外国人の報酬(給与)は同様の条件の日本人以上でなくてはなりません。同様の条件とは、業務内容・能力・経験などのことを言います。
「技術・人文知識・国際業務」に当てはまらない例
1.技術 2.人文知識 3.国際業務のどれにも当てはまらないケース
(在留資格該当性を満たさない)
例.
・工場内労働などの単純作業
・学歴や実務経験がなくても、慣れれば誰にでもできる販売や作業
・建設現場などでの肉体労働
また、業務量が十分にないときにも、「技術・人文知識・国際業務」には当たらない単純労働・作業を行うと疑われ、不許可となるときがあります。
例.
・中小企業の仕事規模に合わず、通訳を多数雇用
・会社規模が小さいにもかかわらず業務がHP管理のみとする雇用
・外国人が来ないホテルのフロントに通訳を主業務とする雇用
学歴や実務経験を満たしていないケース
・予定業務と関連しない大学での履修や専門学校での専攻
特に専門学校卒業の場合は、大学卒業より予定業務と専攻の関連性を厳しく審査されます
・実務経験を証明できない
実際に業務に従事した経験があっても在職証明書などを取得できず、その証明ができない場合は実務経験がなかったとみなされ、不許可となる可能性が高まります。
「技術・人文知識・国際業務」の在留期間
5年、3年、1年、3ヵ月
来日当初や留学生が就職した場合は1年となることが多いです。1年後に更新すると、外国人ご本人の在留状況(勤務、納税、犯罪等々)や雇用会社の経営状況などにより、1年か3年となることが多いです。非常に良好な場合は5年ということもあります。
ただし、雇用会社が既に外国人を何度も雇用して今まで問題がない場合や、会社の規模が大きい、経営が安定している、信用があるなどの場合には、最初から3年または5年ということがあります。
上では「技術・人文知識・国際業務」の職種例をあげましたが、世の中には他にも非常に多種多様のお仕事があります。外国人ご本人の学歴や実務経験がそれらの職種と適合するかを判断するのは困難なときもあります。専門家である行政書士を使ってスムーズに申請手続き・ビザ取得をしてみるのはいかがでしょうか?
まずはお気軽に当事務所までお問い合わせください。