このページでは、日本人とフィリピン人が国際結婚する際の手順や必要書類、フィリピン独特の注意点を説明していきます。
はじめに
フィリピンでの結婚可能年齢は18歳以上です。初婚の場合は問題が起きにくいですが、再婚の場合は注意が必要です。前婚が外国人の場合は離婚の証人裁判を行えば再婚できますが、前婚がフィリピン人の場合は離婚できないので離婚無効裁判(アナルメント)、つまり、最初から婚姻がなかったことにする裁判をしなければなりません。
日本で先に結婚手続きをする場合
日本のフィリピン大使館・領事館で婚姻要件具備証明書を取得します。領事館の管轄はこちらをご覧ください。取得には夫婦となる2人がそろって窓口へ行かなければなりません。日本で取得できるのは、原則として、結婚相手のフィリピン人の方が現在日本に居住する場合のみです。
申請から発行まで約10営業日かかります。
(1)フィリピン人が準備するもの
- 申請用紙 APPLICATION FOR LEGAL CAPACITY TO CONTRACT MARRIAGE (LCCM)
- レターパックプラス(宛先を記入)
- パスポート 原本提示+データページのコピー1部
- 在留カードまたは日本での在留資格がわかるもの 原本提示+データページのコピー1部
- フィリピン外務省認証済みのPSA発行の出生証明書 原本+コピー1部
- フィリピン外務省認証済みPSA発行の独身証明書(CENOMAR) 原本+コピー1部
- 証明写真(パスポートサイズ45x35mm)3枚
<追加書類 25歳以下>
- 18歳以上20歳以下:両親の同意書、両親のパスポートコピー
- 21歳以上25歳以下:両親の承諾書、両親のパスポートコピー
- 両親がフィリピンに居住している:フィリピンの公証役場で公証し、フィリピン外務省で認証することが必要です。
- 両親が日本に居住している:両親がフィリピン大使館へ来館して作成してください。
- 両親が既に死亡している:PSA発行の死亡証明書が必要です。
<追加書類 再婚(前婚が外国人)>
フィリピン外務省認証済みPSA発行の独身証明書(CENOMAR)が不要です。
- フィリピン外務省認証済みPSA発行の結婚証明書もしくは婚姻届 原本+コピー1部
- フィリピン外務省認証済みPSA発行の婚姻記録証明書 原本+コピー1部
- フィリピン外務省認証済みフィリピン裁判所発行の外国離婚承認審判書と確定証明書 原本+コピー1部
- 前配偶者が日本国籍者の場合は戸籍謄本(離婚日/死別日の記載があるもの)
<追加書類 再婚(前婚がフィリピン人)>
フィリピン外務省認証済みPSA発行の独身証明書(CENOMAR)が不要です。
- フィリピン外務省認証済みPSA発行の結婚証明書もしくは婚姻届 原本+コピー1部
- フィリピン外務省認証済みPSA発行の婚姻記録証明書 原本+コピー1部
- (離婚)フィリピン外務省認証済みフィリピン裁判所発行の婚姻解消審判書と確定証明書 原本+コピー1部
- (死別)フィリピン外務省認証済みPSA発行の死亡証明書 原本+コピー1部
(2)日本人が準備するもの
- 戸籍謄本 原本+コピー1部
- 再婚の方は以前の配偶者との婚姻日・離婚日/死別日が記載された戸籍謄本、改製原戸籍、除籍謄本のいずれかが必要
- パスポートまたは運転免許証
- 証明写真(パスポートサイズ45x35mm)3枚
市区町村によって必要書類が違うことが多々ありますので、必ず事前に役所でご確認ください。
(1)フィリピン人が準備するもの
- 婚姻要件具備証明書 + 日本語訳
- フィリピン外務省認証済みPSA発行の出生証明書
- パスポート
(2)日本人が準備するもの
- 婚姻届
- 戸籍謄本
この後に婚姻届の記載事項証明書を取得します。
フィリピンで先に結婚手続きをする場合
フィリピンで先に結婚手続きをする場合は、特に婚姻許可証の取得に時間がかかったり、結婚式をする期限があるなどします。お仕事などで日本とフィリピンを往復しないといけないならば、休暇の取り方に注意が必要です。
日本で必要書類を準備してからフィリピンへ行き、在フィリピン日本大使館で婚姻要件具備証明書を取得します。
(1)日本人が準備するもの
- 戸籍謄本(抄本)
- 再婚の方は以前の配偶者との婚姻の記載がある戸籍謄本(抄本)、改製原戸籍、除籍謄本が必要
- パスポート
(2)フィリピン人が準備するもの
- PSA発行の出生証明書
- 印刷が不鮮明な場合は、有効な旅券または洗礼証明書が必要となる場合があります。
<追加書類 25歳以下>
- 18歳以上20歳以下:両親の同意書
- 21歳以上25歳以下:両親の承諾書
申請から発行まで1~2日かかります。
婚姻要件具備証明書を持って、結婚相手の居住地を管轄する市区町村役場で婚姻許可証(MARRIAGE LICENSE)を申請します。その後10日間にわたって夫婦となる2人の氏名などが公示され異議が受け付けられます。特に問題がなければ、婚姻許可証が発行されます。
婚姻許可証の有効期間は120日間です。その間に結婚式を行います。フィリピンの法律で婚姻を司ることができる者(裁判官や牧師などの婚姻挙行担当官)が定められています。婚姻挙行担当官と成人2名以上の証人の面前で婚姻の宣誓を行い、夫婦となる2人と証人が婚姻証明書に署名し、これを婚姻挙行担当官が認証して婚姻が成立します。
結婚式後15日以内に、婚姻挙行担当官が婚姻証明書をフィリピン市区町村役場に送り、婚姻の登録が行われます。この登録後、婚姻証明書の謄本(CERTIFIED TRUE COPY OF MARRIAGE CERTIFICATE)が取得できるようになります。
フィリピンでの婚姻後3ヶ月以内に、日本の市区町村役場かフィリピンの日本大使館・領事館へ婚姻届を提出します。日本大使館・領事館へ提出すると2ヶ月ほどかかる場合もあります。
(1)日本の市区町村役場へ提出する場合の必要書類
- 婚姻届
- 戸籍謄本
- PSA発行の婚姻証明書 + 日本語訳
- PSA発行の出生証明書 + 日本語訳
(2)フィリピンの日本大使館・領事館へ提出する場合の必要書類
- 戸籍謄本(抄本) 原本1通+コピー1通
- フィリピン人配偶者のPSA発行の出生証明書 + 日本語訳 原本1通+写し1通
- PSA発行の婚姻証明書 + 日本語訳 原本1通+写し1通
- 婚姻要件具備証明書の写し 1通
- 婚姻許可証・婚姻許可証申請書の写し 各1通
- パスポート提示
在留資格申請
夫婦で日本で居住するならば、フィリピン人配偶者に在留資格が必要です。夫婦両国での婚姻手続きが完了した後に出入国在留管理局へ申請することができます。日本人と結婚した場合の在留資格は「日本人の配偶者等」です(ただし、他の在留資格、例えば就労ビザの要件を満たしているならば、それらの在留資格で在留することも可能です)。フィリピンから呼び寄せる場合は在留資格認定証明書交付申請、国内にいるフィリピン配偶者の在留資格を変える場合には在留資格変更許可申請をします。
在留資格の申請は当事務所の得意とするところですので、お気軽にご相談ください。